[Summary] Crack density and wave velocity change with damage growth in Inada
granite (
Takemura & Oda (2005) Journal of Geophysical Research, Vol.
110, B05401, doi:10.1029/2004JB003395)
本論文では弾性波速度を多方向から測定することによりクラックの配向性と密度を推定するという方法を提案している。既存の方法と大きく異なる点は、これまでの弾性波速度とクラックの関係は一方向での議論がされていたが、Vijという弾性波速度に関するテンソル量を新たに提案し導入したことで、弾性波速度(P波速度)から得られる情報を応力、歪み、弾性係数やクラックテンソルと等価に結び付けることを可能とした。また、このVijを使い、これまで経験的に示されてきたクラック密度と弾性波速度の関係を理論的に示し、その関係式を提案した。
また、多方向の弾性波速度から推定されたクラックの配向性と密度を使って、三軸圧縮応力下での花崗岩の破壊過程で進展するクラックの配向性と密度の変化を示した。また、破壊に至る時のクラック密度と拘束圧の関係を議論しており、弾性波速度を使った拘束圧下での損傷度合いの評価の一例を示した。ここで、提案された方法は今後、岩盤・岩石力学分野が活躍していく放射性廃棄物の処分場や二酸化炭素などの地下貯留など大深度地下での岩盤損傷を非破壊で評価する時に大きな貢献をすることができると考えられる。また、今後の展開として、透水テンソルと関連付けることで亀裂性媒体の透水係数の推定を目指し研究を進めています。
関連論文:
Takemura,T., Golshani, A., Oda, M. & Suzuki, K. (2003) Preferred orientations of open microcracks in granite and their relation with anisotropic elasticity, International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences, 40, 443-454.
Takemura, T. & Oda,
M. (2004) Stereology-based fabric analysis of
microcracks in damaged granite, Tectonophysics, 387,
131-150
竹村貴人・GOLSHANI, A.・小田匡寛・鈴木健一郎・中間茂雄 (2005) 深部地質環境下での花崗岩類のダメージ進展とクリープ破壊に関する実験的研究、応用地質、46, 280-286.